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【Onlooker】~サラが見たもの~
第1章 見るだけの、お仕事?
同乗する二人の精神を激しく取り乱しながらも、一人涼しげな顔の零子は黒木に向かい更にこんな風に言った。
「あとね、黒木くん」
「な、なんすか?」
「この子、とってもいい子なのよ。だから、よろしくね」
「はあ……?」
黒木は再び車を走らせながら、気のない返事をした。
私、どうなっちゃうの……?
零子と黒木、その二人のやり取りを横目に、またしても不安な気持ちが頭を擡げる。
「とりあえず、お試しをしましょう。やるかやらないかは、その後で決めてくれたらいいのよ」
面接の終わり際に、麗子はそのように言っていた。すなわちキャバクラでいう処の体験入店といった感じであろう。それを連想している時点で、どうにも怪しさは拭いきれないが……。
それでも、繰り返し言われたことは、サラがするのは「見るだけ」であるということ。しかしながら、その対象が『他人のセックス』であるという事実が、どうにも不可解であり不安を覚えさせた。
ホントにそんなことが、お仕事になるの……?
世の中には、自分の知らない様々な趣向があるのだろうとは思う。だが、こればかりは話を聞いただけでは、どうにも納得することはできない。
「なあに、不安なの? 大丈夫よ、今日は私が一緒だから」
浮かない顔をするサラを見て、零子はそう声をかけた。
零子が付き添ってくれること。サラの身に危険が及ばないこと。その二点を保証すると念を押され、サラは渋々と同行をすることを承諾した。
しかしその内心では、微かな好奇心が芽生え始めてもいる。