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【Onlooker】~サラが見たもの~
第5章 アイドルの、掟(ルール)?
「……」
涼は今でも思う。あの遠くを見つめた、眼差しを心に刻んで。
あの言葉に応えたいと思った自分は、愚かであったのか――?
しかし、その答えは永遠に見つからないのだろう。もう彼女は、いなくなってしまったのだから……。
涼にとって数カ月に一度ある夢精は、苦痛以外の何物でもなかった。単純に射精の際に得る快感だけで比するのならセックスにすら勝るとされる、それを――。
罪悪の最中で快感にまみえるあの一瞬は、紺野涼という人間の精神をどこまでも汚してしまう、ようで……。
あと何度、自分はそれに耐えられるのだろう、と――ふと思っていた。
そしてまた、その時が近いと感じる、今。
「僕は、あのお嬢さんの眼差しに、どう――されたい?」
自らにそう、問いかけている。
罪悪を許されたいのか、それとも、責められたいのか。或いは単に、救われ癒されたい、のか。
その動機がわからなくとも、自分が彼女を必要としていることだけは、否応なく感じている。
そして、もし次に見た夢が、白隅サラのそれであるのならば。もしかしたら自分の精神は、解放されるのかもしれない。そんな予感も確かにあった。
「……」
でも、そんな自分自身を涼は、決して認めはしないのだろう。