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【Onlooker】~サラが見たもの~
第5章 アイドルの、掟(ルール)?
自分でも、誰とどうなりたいとか、よくわかってもいないクセして。
それでも、『俊くん』と親しげに呼んだ隣の彼とは、同じ気持ちでいてほしいと感じるのは、勝手かも、と思っている。
だが、彼のいう「このまま」に続きがないというのならば、それをサラは寂しいのだと感じてしまった。
「とりあえず、お前は――紺野涼に、踏み込んでみろよ」
「え?」
その意外な言葉に、サラは驚く――が。
「お前があのイケメンに抱いている気持ちを、少しでもはっきりさせたいと思うのなら、それが手っ取り早いんじゃねーの。もう、皮肉って邪魔したりしねーから」
「俊くんは、それでいいの?」
サラが上目づかいに、そう問うと――黒木は髪をガシャガシャと掻いて、実に面倒そうな顔をしてから、こう話した。
「俺は俺で、吹っ切るべき過去(こと)があるんだよ」
「それは、どんな?」
「今は、言えねー。お前と同じだ」
「そっか……」
サラはそれを知りたかったが、それでもなにかを納得したように、それ以上は訊かなかった。