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【Onlooker】~サラが見たもの~
第5章 アイドルの、掟(ルール)?
※ ※
そうして訪れた高級ホテルの一室で、サラを迎えたのは――もちろんサラを指名をしてきた紺野涼である。
「ようこそ、お嬢さん」
「こ、こんにち、あ、ちが……こんっ、ばんばっ……?」
一気に緊張してしまったサラは、挨拶の時点で思いっきり噛んでしまったのだが。
「あはは――はい、こんばんは。またこうしてサラさんに会えたこと、僕はなによりも嬉しく思うよ」
「そ、そんな……わ、私こそっ……」
信じられないくらい口が回ってくれないことに、サラは焦る。
しかし、部屋に足を踏み入れた時に、その再会に胸をときめかせるよりも先。ある事情において、サラは大いに驚かされることとなった。
「――!?」
目を見張ったのは、他に部屋にいた二人の姿を認めた時である。それは男女。紺野以外にも、男がいたことも想定外――だが。
本当にサラが驚いたのは、その――女の方の顔を見た時だった。
この女(ひと)、誰だっけ……?
そう考えを巡らせたサラは、確かにその顔に見覚えがあった。しかし、それは知人という範疇の話ではない。相手は自分のことなんて知らない。一方的に、コッチが知っているだけ。
そう――殊に、テレビの画面の中で。
そうして気づき始めていたサラに、紺野が告げた。
「今日、サラさんに見てもらうのは――この二人」
「ええっ!?」
サラが思わず大声を出してしまったのは、紺野のせいではなかった。
NSJ44の――長峰ひかる!
それは国民的アイドルグループのセレクトメンバーの一人として、連ねている名前であった。