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【Onlooker】~サラが見たもの~
第5章 アイドルの、掟(ルール)?

「えっと……あのぉ……」


 サラは『長峰ひかる』と紺野の顔を交互に見比べるようにして、その困惑を露見させた。


「……」


 長峰ひかるはその好奇交じりの視線を受流すようにそっぽを向くと、不機嫌さを隠さずに深いため息を吐いた。

 その様子をやや苦笑するように見つめ、紺野はサラにこの状況の説明を始めた。


「どうやら、彼女については説明が無用らしいので――まず先に、彼の方から紹介しておこうか」

 そう言われたサラは次に、長峰ひかるの隣に立っている男性の方に注目した。すると――


 アレ……この人も、どこかで?


 二十代半ばと思しき、なかなかの男前。彫りが深く端正な顔立ちをしている。紺野涼や長峰ひかるほどではないが、その世界特有の独特のオーラのようなものを感じた。

 すなわち、長峰ひかるを目撃したインパクトの影に隠れてはいるものの、彼もまた芸能界の一員だろうとは思う。とはいえ、なにかで見かけたことがある程度で、名前の方は一向に出てきそうもなかったが……。


「彼は僕がお世話になっている小劇団出身の役者さんで、栗山真司くん。ここ数年で一気に頭角を現し、最近ではスクリーンにも活躍の場を広げている。若手演技派の注目株として、とても評価が高まっている役者さんだよ。サラさんは『桜咲き、それが散るまで』という映画はご存じかな?」

「あ、はい――確か昨年大ヒットした邦画で、最近テレビでやってたのを私も観てますが」

「あの映画に出ていた、ヒロインをつけ狙う連続殺人犯の――」

「あ!」


 紺野の説明の途中で、サラははたと気づいていた。
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