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【Onlooker】~サラが見たもの~
第5章 アイドルの、掟(ルール)?
「……」
その時、サラが見つめていたのは、長峰ひかるの――どこかやるせない横顔。
だが、栗山はそんな彼女を顧みることはせずに。
「舞台の方は、僕が降板します。これが生半可な気持ちではないこと、わかっていただけますか?」
そう言うと、なんらかの想いを込めるように紺野を見やった。
「そうだね。僕だって、そこまで性悪ではないさ。二人が別れた後で、それを蒸し返して悪戯に騒ぎを大きくしたりするつもりはない。でも、本当にそれでいいのかな?」
「どういうことです?」
「さあ、僕にもよくわからないけど。例えば……サラさんなら、どう思うの?」
「わ、私っ……?」
突如、話を降られてサラは焦る。が、紺野に背中をポンと叩かれ、そうされたことで不思議と気持ちが落ち着いてゆくのが自分でもわかった。そうして改めて二人を見渡す。
栗山は「なんだよ」という呆れ顔であるが、長峰ひかるは押し黙ったままその揺れる眼差しを向けている。
サラは一度、紺野を振り返り。うん、と頷いてくれたのを見ると、二人を前に語り始めた。そうして――
「さっき栗山さんが話した結論は、お二人の本当のお気持ちを表したものとは――私は思えませんでした」
「なんだって?」
栗山がその声を荒げた。