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【Onlooker】~サラが見たもの~
第5章 アイドルの、掟(ルール)?

「私はこんな仕事をしてるくせに、二十歳になる今まで恋愛経験がありません。本当に誰とも付き合ったことなんてなくて、だからそんな私が言うのも変なのですが……」


 うわ……私、なに言ってるんだろ……。


 自分でも呆れるくらい、要領を得ない話だと感じている。ここで自分が話す事自体が場違いであると感じていた。それでも二人から感じたことがあって伝えたい気持ちがあるから、それを拠り所にしてサラは挫けそうな自分を奮い立たせてゆく。


「でも、恋をする、だとか……そんな気持ち……まだわからないけど、それに近いものが自分の中にも、見つけたような気がしていて……だから、私……」


 そう話しながらサラは、すぐ近くの紺野と自分をここに送り出した黒木の顔を思い浮かべている。


「その想いがもっと大きく明確に、きっと想っているだけでは堪らなくって、思わず手を伸ばして触れてみたくなる時だって、きっと――あるから。それなのに、その想いを禁じられてしまったとしたら、やっぱり……辛いと思いました」


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