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【Onlooker】~サラが見たもの~
第5章 アイドルの、掟(ルール)?

 長峰ひかるは言わずと知れたアイドルである。NSJ44ではセンターに立つことこそなかったが、グループを創世記より支えた中核メンバーだった。

 例えば写真集だったり週刊誌のグラビアにしても、そう。ビキニ姿で笑顔を振りまく彼女を見て、全国のどれだけの男たちが胸をときめかせていることだろう。

 その上で、水着の小さな布地で隠された箇所を夢想して、激しく自らの劣情をぶつける者だって決して少なくはないはずだ。

 サラは今、それを見ているのだと自覚する。性として、それに劣情を覚えることこそなくとも。乳頭が象徴する、その裸。あまつさえ、恋人と身体を重ね合せている場面を目撃しているのだ。

 だからこそサラはオンルッカーとして、いつも以上に好奇の心を滅する必要を感じた。

 紺野に強いられた形とはいえ、何故、特にひかるが現在の状況を受け入れたのか、その真意は定かではなかった。それでも、その心理には自分への信頼が滲んだように、感じた。

 なにかの役に立てるなんて、自惚れるわけもなかった。せめてその内面を見通すことに努めよう。自分にはそれしかできないと、サラは気持ちを引き締めた。

 だが、もうひとつ。


「ううっ……」


 ベッドの二人が有名人である、ということにも増して。サラの集中を奪う要素が、サラのすぐ側にあるのだった。

 ふっ――と耳の中に息を吹かれ。


「ひゃん……」


 サラは思わず声を発した自らの口を、慌てて両手で塞いだ。

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