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【Onlooker】~サラが見たもの~
第5章 アイドルの、掟(ルール)?
国民的アイドルグループに属し、“恋愛禁止”という鉄の掟で縛られた。いつも笑顔を振りまき、ファンに捧げた青春。
だが、自ら望んだその道を嘆くはずもなく。弱さを見せれば、たちまち追い落とされることも知る。アイドルとなり夢を叶え、アイドルとしてその責任を身に着けた。
それでも齢二十歳を超え、一年また一年と。アイドルとしての旬であるとか。後輩の台頭であるとか――。
ふと疲れたその時に、誰かより差し伸べられた手に――心をときめかせ、それを握り返した、として。抑圧された故に、想いは決壊したダムからの濁流の如く止めどなく。秘めねばならぬからこそ、激しく燃え上がってゆく。
だから至る前、既にサラはその心を想い、それを涙していた。またそんなサラを認めたからこそ、ひかるも紺野の要求を呑んだのだろう。
世間から認められぬ恋、その点で不倫の女性とその想いは類似している。だが、秘することにおいて、その範囲は前者の比ではなかった。取り巻く世界のあらゆる目に対して、その警戒を怠ることは許されないはずだ。人知れずに……。
だから、同じく――否、それ以上に。サラの瞳に女としての自分を認められたことによって、ひかるは満たされつつあった。
しかし、それだけでは――まだ、見えない想い(もの)が、あるから。
「……」
「……?」
サラの眼差しは更に――ひかるの解放を促してゆく。