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【Onlooker】~サラが見たもの~
第1章 見るだけの、お仕事?
広いホテルの部屋で零子とサラを迎えたのは、四十半ばと思しき男。浅黒い肌をしていて、顔立ちのはっきりしたなかなかの男前だ。
肩幅の広いガッチリとした体格で、一見してスポーツマンタイプ。
一方、その男の影に身を隠すようにして、伏せ見がちにサラたちに視線を送っているのは大人しそうな女性だ。年の頃は三十そこそこ。男とは対照的な、白い肌が印象的。
顔立ちは整っているが、およそ快活で目立つタイプとは違って思える。
「……!」
サラが思わず息を呑んだのは、その二人が既にバスローブ姿である、ということ意識が向いたから。本当にこの後、この二人のセックスを自分が見ることになるのだと、そうした実感が湧き否応なく緊張を深めた。
「オンルッカーをご利用いただき、誠にありがとうございます。既に電話にてお話した通り、本日は研修の者を同行させております。改めましてご了承いただけますと、幸いにございますが」
そう零子に言われ、男は傍らの女と顔を合わせてから、コクンと頷く。
その様子を見て、サラは何気なく女性の方に同情する。きっと男の側の悪趣味につき合わされ、嫌々応じているのだと感じたからだ。
「ありがとうございます。それでは――」
零子は背筋を伸ばし、しゃんとした姿勢を取り二人に告げる。
「これより、我々二名のオンルッカーが、お二人の情交を見届けさせていただいます。もちろん、スマホやその他一切の音響・映像機器類の使用や持ち込みはいたしておりません。飽く迄も用いるのは、己の眼差しのみとなります。以上、相違なきことを、先にお誓い申し上げいたします」