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【Onlooker】~サラが見たもの~
第1章 見るだけの、お仕事?

 零子が言った通り、サラもスマホを車に置いてきていた。

 人のセックスを見るという行為が仕事になるという点は、まだまるで納得はできない。が、仮にそれが成り立つのならば、そこには両者間に多大な信頼関係が必要と考えるべきだろう。

 各個人がスマホを持ち歩く、この世の中。事件や事故現場がそれらにより映像として残されることも、最早当たり前となっている。

 更にはリベンジポルノなんてものさえ、ネットに出回ってしまう有様だ。そんな現代にあって、古くより秘め事とされる行為を、敢えて他人の目に晒すなんて――。

 考えれば考えるほど、納得しようもなかった。


「よろしければ、どうか――お二人のタイミングで」


 零子がそう促すと、二人は戸惑ったように見つめ合った。そうしてから、男が手を引き二人はベッドの方へ。

 すると――


「サラちゃん――」


 小声で呼ばれ、サラは零子に伴われ二人掛けのソファーに腰を下ろした。

 ベッドの足側の一角と、一間ほどの間隔がおかれている。そこからだと、やや斜めにベッドの二人を見通せる、そんな位置だった。

 ソファーは予め、サラたちのために配置されていたかのようである。

 大きなベッドの端に並んで腰かけた二人。だが特に男の方は、流石に気になるのか。初めはチラチラとサラたちの方を見て、落ち着かない様子である。

 暫く――部屋の中では、時計の秒針の音だけが――カチカチ、と響いた。

 ううっ……居心地が悪いよぉ……。

 ソファーの上のサラは小さく身を縮め、息をすることすら窮屈に感じた。

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