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【Onlooker】~サラが見たもの~
第6章 共にする、一夜?

    ※    ※



 それは、ホテルのロビーで佇んでいた時のことだ。


「ん?」


 どこかで、見たような……?

 黒木俊太は目の前を通り過ぎっていったサングラスの若い女の姿を、暫く目で追った。だが、その数分後。同じく人目をはばかるようなマスクをした若い男のことは、気にも留めなかったようだ。

 しかし、気づこうが気づくまいが、それは同じことであろう。黒木は別に、芸能人になんて興味はなかった。

 だから、少しそわそわとしてスマホを見たのも、時間を確認したからであり。

 アイツ、遅っせえな……。

 というのが、この男の本音だ。

 調度、手にしていたスマホ。それが紅谷零子からの着信を告げていたのは、その様なタイミングであった。

 通話を始める前に、少し嫌な予感がしている。大体こういう時の社長からの電話は、面倒事かなんらかのトラブルだと、黒木はそう感じている。

 だが、自分で届けているオンルッカーは、白隅サラであり。そのクライアントが、あの紺野涼であるから。

 どんな面倒事よりも、黒木の心は穏やかではなかった。それでも――


「――はい」


 黒木はとりあえず、その着信に応じる。

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