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【Onlooker】~サラが見たもの~
第6章 共にする、一夜?
零子は当時の十六歳だった頃の自分を、客観視してみようと試みる。が、今一つイメージが湧かずに、すぐにそれを断念した。
次に例えば、白隅サラと比べたらどうだろうと考えてみる。もちろん高校生だった自分の方が年齢は下だけど、やはりあれ程までに女の子らしい女の子といった感じではないように思う。
最もそれをサラに伝えたのなら、彼女は「私って、そんなにガキっぽいですか?」と剥れるのかもしれない。サラのそんな顔を思い浮かべ、思わず、クスリ、と笑みを零した。
そう。あれから十年以上の年月を過ぎても、自分は自分だ。子供から大人への変遷の過程は、他人の目を借りでもしなければ認識できるはずもないのだ。だかそれでも、間違いなく“少女”であったことは青臭い香りと共に、その身の中に染み込んでいる。
だから、やはりショックだった。紺野涼に、あんな風に言われた時のことだ。
「もう、僕と会うのはよした方がいい」
知り合ってから既に予感していた。いつか紺野涼と付き合うようになると。それは決して零子の自惚れではなくて、そうなるのが二人の自然な形だろうと素直に思えていたから。
でも、突然その想いは一方的に撥ねつけられた。告白――想いを伝えようとしていた、まるでそのタイミングを先回りされたように……。
「何故、ですか……?」
せめて理由を欲した。無様でも、そうせずにはいられなかった。運命なんて利いた風なフレーズは口にしたくなかったけれど、確かにその様なものさえ感じさせてくれた相手であるのだから。
初めての恋――それが、あまりに儚く砕け散る。それに酔うことさえ許されなかった。