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【Onlooker】~サラが見たもの~
第6章 共にする、一夜?
「言えない……の、だろうな」
「……」
奥歯をぐっと噛み締めた。目は合わせられない。
それでも、父の淡々と話す言葉の端々に、全てを見通しているという響きがあった。
「沈黙か……それでも構わんよ。だが、釈明をしないのなら、それをしないなりの罰を受けることになるがな。こちらとしても、耳にしたい話であるはずがなかろう。まさかな、兄が病気の妹を……とは」
「……!」
身体が押された気がして、倒れそうになった。踏みとどまった足元を見た視界が、ぐらぐらと揺れてる。
責めを受けること、それは覚悟しよう――潤のためなら、できると思えた。しかし――
「どうしてっ……?」
潤とのことが父に知られてしまった。そんな理由を求めて、つい、涼は口を開いていた。
そうしたことで、涼は父の口から、予期せぬ事態を知ることとなる。
「今回、潤を病院に戻したのは、宿痾(しゅくあ)のためだけではない」
一度、間を置き。射抜くように涼を見据え、父は言うのだった。
「潤はな……子供を、身ごもっていたよ」