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【Onlooker】~サラが見たもの~
第6章 共にする、一夜?
「…………」
呆然として、意識が飛ぶ。そんな涼の耳に父の声だけが、まるで機械的に流れ込んでいった。
「驚いたよ、当然だろう? そして、使用人を問い質してみれば、夜遅く潤の部屋に忍び入るお前の姿を見た、と。それも複数人が幾度にもわたり、だ。親として信じたくはなかったが、他に可能性も考えらそうにない。そうして今、お前の態度により、最悪の仮定が確信へと変貌してしまったわけだが……」
潤は……? それを、どう思って……?
辛うじて稼働した思考で、それを気にかける、が。
「潤はあれほど頑なに拒んでいた手術を、受けさせてほしい、とそう言ったよ」
「えっ……?」
思わず声を上げて、父の顔を見据えていた。
手術を受けようとする潤は、意外だ。生命を永らえるためには、それが必要だということはわかりきっていた。
だが、あまりにも困難な道のり。その分野に於いて権威と呼ばれる名医でさえ、その成功の可能性を数字として言及することを諦めたほどに……。
その上、失敗となればたちどころに潤の生涯を閉じることを意味するのだ。
「くっ……」
それを聞いて、涼はじっとしてられなかった。踵を返し、駆け出し、病院へ――潤の元に駆け出そうとする――が。