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【Onlooker】~サラが見たもの~
第6章 共にする、一夜?
「もちろん、させるわけにはいかない。大体、こんな話、世間に知られたらどうなると思う?」
「そ、そんな……世間体なんて」
「重要じゃない、とでも? その若い感傷に理解を示すことは吝かではないが、お前にそれを言う権利はない。何故なら、当家の日常を乱したのが、涼――お前、自身だからだ」
「だけど、潤は――」
必死に想いを訴えようとした涼を制するように、父はこの時、一番の冷徹な響きを奔った。
「もう、連れて行け」
そうして涼は、潤と引き離されてしまった。
紺野家の所有する、太平洋を望める別荘があり。涼はその中の一室に閉じ込められたのだった。父親の命を受けた者たちにより、四六時中を監視された。
高校へ通うことはおろか、一切の外出すら許されない。唯一、許されたことは、その部屋にあった本を読むことぐらい。しかし、それにも没頭はできなかった。
気が狂いそうになるくらい、潤のことを心配する。けれど、側に居てやれない、己の無力を呪う。
ひたすら、その繰り返しだ。
そうして、結果。その後――涼は潤に、二度と会うことは叶わなかった。