この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【Onlooker】~サラが見たもの~
第7章 その関係は、曖昧?
ホテルの地下駐車場まで、サラは黒木の後ろをそろそろと歩いた。さっき話した時、目を合わせにくい、そんな気がしていた。
だけど、黒木の方が終始視線を逸らしていたので、その心配は無用だったけれども。
「……」
すたすたと前を行く黒木の背中は、どんどんと離れてしまうように思え。少し前にせっかく自分から歩み寄ったのに、と思い。サラは早足で、その背中を追った。
すると――ドッ!
地下駐車場に出て暫く進んだ辺りで、急に立ち止った黒木の背に、サラはぶつかってしまう。
「ご、ごめん……」
と、ゆっくりサラを振り返った黒木は――
「……」
無言のままサングラスのない顔で、初めてちゃんとサラを見据えた。
しかし、そうなった時に、それはそれで――着ている服が昨日とは違っていること。その事情をどう話そうかと、サラは慌てた。
「ち、違うよ」
「ん?」
「これは、紺野さんに用意してもらった服で……どうして、服が必要になったかっていうとね。それは――」
舞い上がってるサラの言い分に関心を示さずに、黒木はポツリと言う。
「ホラ、早く車に乗れよ」
「あ、うん……そうだね」
サラを助手席に乗せて、黒木が車を走らせ始めた。