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【Onlooker】~サラが見たもの~
第7章 その関係は、曖昧?
父親の再婚(それが正式なものかは、今でも定かではなかったが)を契機に始められた、新しい家族(らしきもの)の生活。
しかしながら、父親が俊太に興味を示さないのは相変わらずであり。また、俊太の方としても、父親には怖いイメージしか持っておらず、できるだけ顔を合わせないようにしていた。
その意味では誂え向きに、俊太はマンションで個室を与えられていたことで、努めて避けることもできたのだし。そもそも父綾は帰りが遅くなることが多く、マンションに居ること自体が珍しいほどだった。
夜中、俊太が寝る頃。出迎えるチハルさんの声で、父親の帰宅を知ることが慣例となる。漏れ聞こえる会話から察するに、どうやらいつも酔っぱらっているようだった。
どうして若くて綺麗なチハルさんが、そんな父親と一緒になったのだろうか。そのことが最初から不思議だった。けれど重要なことは、そのお蔭で随分と真面な生活が送れるようになっていること。だから俊太はやがて、その理由をどうでもいいと思うようになった。
俊太の新しい生活は、チハルさんの存在によって支えられることに――。
マンションに移って来たのが調度、中学に上がるタイミングだったのも幸運なことだろう。俊太が通う中学校のクラスには、小学校時代に見知った顔は皆無であった。正に新しい生活を始めるには都合が良かったことに相違はない。
食べることを始め身の回りことの一切は、チハルさんが世話を焼いてくれるようになった。十分な食事と成長期であることにより、俊太の身長はぐんぐんと伸び始めることとなる。その姿まるで、囲いの中でしおれていた植物が、日光を浴びて一気に茎や葉を伸ばす如く。
黒木俊太の生活を照らしてくれたのは、少し前まで赤の他人であった女性――。