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【Onlooker】~サラが見たもの~
第7章 その関係は、曖昧?
彼女のことを母親だと思うとか、そうでないとか。そんなことは、初めからどうでもよいこと。食事を作ってくれて、着るものを買ってくれて、楽しげに話してもくれるし、優しく微笑んでもくれた。その上に、とても美人だ。
不憫な少年だった俊太にとっては、そんな人――チハルさんが一緒に暮らしてくれることだけで、他に望むものなんてないように感じていたのだ。
父親のことは好きではない。自分をほったらかしにしていたから。でも、もういい。今はチハルさんが側にいてくれるから。――俊太は思う。そして、まだ知らない。
父親との関係が、この先もずっと平行線だろう――と、そう考えるのと同じこと。チハルさんとは、この先もずっと良好な関係でいられるのだろう、なんて。
それが、錯覚だってこと。人と人との関係なんて、とても脆弱で移ろいやすいもの。殊に、元が他人同士の二人のことだから、尚更――なのだと。
「俊ちゃん……まだ、起きてるわよね?」
俊太は、そんなことを思い知らされることになるのだ。