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【Onlooker】~サラが見たもの~
第7章 その関係は、曖昧?

    ※    ※


 あの、始まりの夜が、終わった後に――。

 黒木俊太は、自分の左手の甲にナイフでバッテンの傷を穿っている。利き手が左手だから、右手でナイフを使うのはやりずらかったけれど。とても痛かったけれど、思った通りの――傷を穿った。

 その意味は、自らを戒めるため――それだけ。



「……」


 今、青年になって。黒木は左手のドクロのタトゥーを見つめる。自らを戒めるための傷は、しかし、生々しく嫌なことだけを思い起こさせるから。

 バッテンの傷をクロスボーンに隠して、それをドクロのデザインで誤魔化した。


「ダセえな……」


 不意に、呟く。

 それをカッコいいなんて思うはずもない。ドクロのタトゥーは、自分の心の弱さの象徴になった。


「くっ……そぉ……」


 この時も、黒木は顔を背ける。最も、咀嚼し難い――あの過去から。

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