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【Onlooker】~サラが見たもの~
第7章 その関係は、曖昧?

 バタン――。

紺野は開きかけたドアをもう一度、閉ざすと零子の顔をまじまじと見つめた。


「なぁに? そんな真剣な顔で見つめられたら、照れるじゃない」


 おどけたようなその言葉を涼しげに受け流すと、紺野は言う。


「どういう意味?」

「言葉のままよ。昨日の今日でわざわざ足を運んだのは、そういう気持ちが生じていたから――私は、そう思ったの」

「それは、つまり――」

「そう。貴方は、サラちゃんがほしくなった――違う?」


 そう言われた紺野は、目を見張る。が、すぐに表情を和らげると、零子の問いかけには答えずに、こう話した。


「零子は変わったね。否――僕に関わったせいで変わざるを得なかった、というべきか」

「嫌な女になったと?」

「そうじゃない――でも、少なくとも聡明な学生だった君が、夜の街に身を置いたと聞いた時には流石に驚いたよ」

「お店、来てくれたわね。私が聡明であったかどうかは、定かではないけれど。聡明だからこそ、キャバクラのような場所で働く女だっているのよ」

「でも、零子は――」


 言いかけた紺野の言葉を遮り、零子は言い放つ。


「今は【Onlooker】の長――後悔なんて、してあげないから」

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