この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【Onlooker】~サラが見たもの~
第7章 その関係は、曖昧?
暫し呆気に取られた紺野は、ふっとため息をつく。
「そっか……」
「ええ、そうよ」
零子は、にっこりと優しげに微笑み――
「もしかしたら、今の時代にはそぐわないかもしれない。けれど、女の生き方を変えるのは、いい男の宿命みたいなものでしょう? 責任なんて感じられたら、逆に迷惑よ」
「ハハハ――零子の前では、今も昔もとんだダメ男さ」
「そんなこと、ない」
「ん?」
「いいえ、なんでも……」
零子はそう視線を逸らし、本棚の奥に裏返っている写真立てを見つめる。
そうして、暫く間を置いた後――。
「だから、遠慮なんていらないのよ――どちらの意味でも、ね」
それを聞き入れ、再び――
「うん――了解した」
爽やかな笑顔を返すと、紺野は社長室から出て行った。
それを黙って見送った零子は、座っていた椅子をクルリと反転。
「さあ、いつまでも誤魔化せはしない。サラちゃんは、どうするの?」
窓から外を眺め、そう呟く。
顔には浮かべた笑みを崩すことはないが、果たしてその心の色とは――?