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【Onlooker】~サラが見たもの~
第7章 その関係は、曖昧?
※ ※
上京して以降、もう二年目。見慣れたはずアパートの部屋の天井を、しかし白隅サラは、久しぶりに見上げた気がしている。
小柄な身体をベッドに横たえ、ふう、と息を吐いた。紺野涼のことを見守っていたから、昨夜はほとんど寝てない。けれど、眠たいわけでもない。
「……」
なにか決まった試案するでもないけれど、頭の中は自然と様々なことが回っていて。じっと見つめている白い天井は、まるで油絵のキャンバスみたい。サラの頭の思い浮かべたイメージが、次々とそこに描かれてゆく――。
最初に現れた顔が、二つ――それは、紺野涼と黒木俊太だった。大きく微笑みを向ける紺野のイメージに対して、黒木のそれは背後で小さく俯いた横顔である。
「フフ――」
思わず零れた笑みに、きっと深い意味などなくって。
その表情が物語るように、二人との関係はそれぞれで、未だ曖昧なものであるのだけれど。それでもシンプルに、二人のことを想うとサラは多幸感を得るのだ。
そんな自分を認めたことが、どこか可笑しくて不思議で、そしてそこはかとなく高鳴ってゆく。
でも――
「あ――!?」
右手と左手を伸ばすと、その二つのイメージはシャボン玉のようにはじけた。