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【Onlooker】~サラが見たもの~
第7章 その関係は、曖昧?

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 物事を、ひとつ――別の角度から眺めてみること。それにより、僅か真実に近づけることなんて、この世の中にはよくあることかもしれない。そして、それは今まで語ってきた、この物語の世界にあっても、それを例外とすることはできないのではあるまいか――。

 今、駅舎から朝の雑踏に姿を現した、一人の若い女性がいて。その彼女は、いわゆる主人公やそれに準ずる重要な登場人物ではないのようだ、けれども。

 しかしそれも、マクロな観点から切り取られた一部を中心に見つめてきたからであって、彼女は彼女として、そんな意識もなく自分の人生を歩んでいるのだった。

 だから、少しだけその人となりにも、触れてみることにしよう――。


「あー、眠たい……」

 駅前の雑踏を抜け少し人が疎らになった辺りで、彼女は思わず呟いた。欠伸を手で押さえ、眠い目をそっと拭う。

 百七十センチ近い長身が目立たないように、そっと猫背の姿勢をキープ。その足取りは傍目にも、重たそうに見えていた。

 彼女の名前は、寺田宮子(てらだ みやこ)という。この秋に二十二歳になる、専門学校生だ。

 宮子は痛感している。四年制の大学などと比べれば、専門学校の夏休みなんてとても短いものだって。実質期間が短い上に、休暇中にも山盛りの課題を与えられているから、のんびりと遊び呆けてばかりもいられない。

 最も、目標がより明確であるからこそ、専門学校という選択をしているのであって。初めからモラトリアムありきといった大学生たち(もちろん一部とは思うが)と、同じような時の過ごし方を望んではいないはずだ。

 只でさえ宮子の場合、既に幾分、人より遠回りをしているのだから。
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