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【Onlooker】~サラが見たもの~
第7章 その関係は、曖昧?
夏休みが終わる、という――この世の中に掃いて捨てるほど有り余った理由以外にも、宮子を憂鬱にさせている要因が、もう一つあって。
先週、付き合って二年になる彼と旅行に行ったのだけれど、その最中、二人は大喧嘩をしてしまい。結局、休み中には上手に仲直りができずにいたのだ。
「お前って、ほんっとに、かわいくないよな」
あれから何十回も繰り返えされたであろう、その彼氏(悪魔)の言葉。今また量らずもそれを脳内再生してしまい、宮子は足を止め怒らせた肩を震わせている。
ええっ、どうせそうでしょうよ……。ヒールを履けば、私の方がでかくなっちゃうし。見た目もなんか地味で、目だって一重で細いし。ついでに、胸だって小さくて――ホント、悪かったわねっ!
宮子は内心で悪態をつくと、無駄に自分自身の傷口を広げている。
最も彼だって、そんな些細な点を一つ一つを論って「かわいくない」と言ったわけじゃないことくらい、宮子も実はわかっている。だからこそ、こんな風にこじらせてしまっている自分の性格が、一番「かわいくない」のだろう嫌悪した。
と、その時――♪
「――!」
ラインメッセージは、彼からのもの。その内容は――?
くすっ、と笑みを零した、その顔が既に物語っている。が、そこで――
「まったく、しょうがないなぁ……。でも、すぐに許してチョロイと思われたら癪だしね。午後まではスルーしよっと」
意地悪くそんな風に言いながらも、再び歩き出したその足取りは、さっきと比べ明らかに軽い。