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【Onlooker】~サラが見たもの~
第7章 その関係は、曖昧?
「お待ちしておりました」
重厚な音を立てドアが開くと二人を迎えたのは、これまた絵に描いたような人物。
ロマンスグレーの頭髪をきっちりといたオールバックに纏めて。上品に整えられた口髭。ぱりっと皺のない黒のスーツを着こなす。
こういう人のことを、執事というのだな、と、サラは漠然と思った。でも、それは率直すぎるイメージだから、後に裏切られることになるかもしれない。
ともかく、そんな風に迎えられて既に内心、ふわふわとしてしまっているサラが、玄関から開かれたようなその室内にふらふらと入っていったものだから――。
当然、驚愕することになるのだ。
「やあ、どうも」
「……!」
そこでサラを迎えた男たちの反応は、とっても対照的である。一方は爽やかな笑顔を愛想よく振りまいており。一方は徐にその顔をしかめると、逆立てた金髪の髪を掻いている。
「ええっ――!?」
当然ながら驚いたのは、二人が見知った顔であるから。もう言うまでもなく、それは紺野涼と黒木俊太だ。
な、なんで……?
と、既にぽかんと頭の中を空洞化することで、新しい現実逃避を試みていたサラにしてみたら、それ以上のサプライズはまさに“too much”だった。
「いらっしーゃい。よく来たじゃない、お嬢ちゃん」
見下すような、嫌な笑みを浮かべる。
その女は胸元と太ももにぱっくりとスリットの入った、ピンクのドレスを纏う。
そして紺野と黒木の間をずいっと分け入ると、ネイルと宝石で飾った左右の手をそれぞれ両者の肩に馴れ馴れしく置いた。