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【Onlooker】~サラが見たもの~
第8章 危険な、遊技?

 改まり零子は、咲花に問う。


「それで――今宵は一体、どういった趣向なの? それとも、どういう魂胆なのかって、そう聞いた方が近いのかしら」

「ウフフフ――魂胆だなんて、まさかぁ。お誘いの時に、お話した通りですが」

「いつかのお詫び? それを額面通りに受け取るのも吝かではないわ。けれど、それにしては一人、関係してないメンバーがいるような気がするわね」


 そう言いながら、零子が視線を向けた先で――。


「ああ、ゴメン。僕のことだね」


 紺野涼はそう口にしながらも微塵も悪びれずに、更にこう付け加えた。


「どうしてご招待いただいたのかは、僕にもよくわからない。でも、こうして来ている理由なら、会いたい人がいるから――かな?」


 甘く囁きかけるような言葉の最期に会わせ、パチリとウインクを飛ばす。


「は……?」


 それを受け取ったサラの顔が、みるみると真っ赤に染まった。

 しかし直後、サラの背後から聴こえたのは、キシッ、と僅かにソファーの脚が鳴らした音。それと同時に醸し出されていたのは、隠さざる敵意――か?


「どうかしたかい――黒木くん?」


「いえ、別に……なんでもないですよ、紺野さん」


 自らを挟むようにして高まった緊張感に、息を呑んだサラは思わず背筋を正した。

 一人は、底知れぬ企みを今は笑みで覆い。一人は、あくまでも毅然と。一人は、素知らぬ微笑を浮かべ。そして一人は、若さ故の苛立ちを抑えきれずにいる。

 そんな面々に囲まれ、オロオロとするばかりのサラではあるが――。

 零子はこの宴を、サラのための舞台(ステージ)だと話した。もちろん、その主人公たる自覚などなかったけれど――それでも。どうやら量らずも自分が、その中心に在るのだということは、ヒシヒシと感じずにはいられなかった。


 だからこそこの夜は、サラのこれからになにかをもたらそうといている――?

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