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【Onlooker】~サラが見たもの~
第8章 危険な、遊技?
そうしてから――
「なんていったっけ――お名前?」
「白隅……サラです」
「ふーん……サラちゃん、かぁ」
「な、なにか……?」
「別にぃ……ただぁ、なんかキライってだぁけ」
咲花はこれ見よがしにとばかり、ニコリと笑っていた。
「……」
向けられたものは、明快な悪意に満ちて思える。
両親にもらった名前を、理由もなくけなされた。それだけのことだが、しかしながら看過し難いこと。サラにしてみれば珍しいことだが、胸の奥底を熱くしたのは真っ直ぐな怒りだった。
が、その想いのまま表情を険しく変えようとする矢先、待ったをかけていたのは零子である。
「咲花――ウチのカワイイ子のこと、いじめないでいただけないかしら。それこそ、オシャレじゃないんじゃない?」
「ウフフ、わかってますよぉ。ほんの、冗談。じゃあ、そろそろ始めちゃいましょう。というわけで、零子さん、お願いできますかぁ?」
「なぁに?」
「カンパーイ! ――の、ご発声ってやつですよぉ」
咲花がそう言ったタイミングに合わせるように、口髭の男が零子の前に置かれたグラスになみなみと紅いワインを注いだ。