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【Onlooker】~サラが見たもの~
第8章 危険な、遊技?

 紺野との一夜の後から、黒木とは気まずいままである。ちゃんと話したいと思いながら、なにをどう話していいのかがわからなかった。そもそも自分自身が、あの夜のことをどう考えていいのか、わからないのだ。


 そうか……それで、零子さんは……。


 サラはここに来た時に零子に言われたことを、少しだけ理解した気がした。

 紺野涼に対しても黒木俊太に対しても、今の内なる気持ちを明かせないでいる。それがモヤモヤしてたまらないけれど、その気持ちを表現できない自分自身――その輪郭をはっきりと認識できない自分に焦れ始めていた。

 一方で紺野とは既に、意義と経緯と結果はどうあれ裸でのスキンシップを持っている。あれからというもの、その場面を思い出し身体を熱くした、夜もあった。

 頭で考えてもわからないのなら、いっそ――身体を預けてしまいたい。そう思っている自分を、サラは認めなければならなかった。

 だからこそ色んな想い(もの)が絡まり合ったような、この夜に。なにかを見出すことが、できるのかもしれない。否、見出すために利用してしまえと――おそらく零子は、そう言っていたのだった。

 そして――


 零子さんとの”約束”――もう、ちゃんと果たさなくちゃ、いけないんですよね。


 サラは表情を引き締め、零子に向かってそう目で訴えていた――の、だが……。


「うふふ……サラちゃん、なぁに?」


「え……? いえ……」


 なんだか妙に色っぽい零子に、サラは唖然として――色っぽいのはいつもではあるけど、それにしても、なんだか変。

 そう感じて――


「あの……零子さん」

「にゃあに?」

「にゃ、にゃあ……?」

「にゃん!」


 と、手で猫のポーズを取った零子の姿を目の当たりにした時に、ようやくサラはその異変に気がついていた。

 そして、”そうなってしまった”零子により、この夜に集った面々の想いが、一気に弾け合おうとしていゆく――。


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