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【Onlooker】~サラが見たもの~
第1章 見るだけの、お仕事?
わからないに決まってる。そんなこと言われたって、どうしようもない。
ベッドで淫らに絡み合う男女は、間違いなく赤の他人だ。性行為を見せられ内心穏やかではないが、それは本能的な反応である。
少なくとも彼女に対して、極めて個人的な「嫉妬」という感情を抱くわけがなかった。
「そんなの、無理ですよ……」
サラは更に困惑しながら、そう言うしかないのだ。
が――
「そうね。本来なら、その対象は貴女ではない――当然よね」
「じゃあ……」
「そう。彼女はおそらく――彼の奥様に、この情交を見せつけ嫉妬してほしいの。それこそ、狂おしいほどに、ね」
「!」
耳元で零子にそう伝えられたサラは、改めてベッドの上の二人を見る。
女の方は尚もサラを見据えながら、挑発的にいやらしい舌を使った。男の亀頭、その周辺に絡まり淫らに蠢く尖った舌先は、まるで生き物のように。
尿道口を突き、カサの下の窪みを這いずる。
「お、おお……」
その容赦ない責めを受け続け、仰向けの男は苦悶の表情で堪らないとばかり、くぐもった声を洩らした。
二人が不倫だと聞き、サラが抱いた印象を端的に言い表せば「サイテー」という一言に尽きる。どうして妻や子があるのに、男はよその女にかまけてしまうのか。
女の人だって、いけないよ……。
サラのその気持ちは、決して変わらないのだろう。しかし、では何故――彼女は、こんなにも淫らな自分の姿を、サラの前に晒しているのだろう――か?
いくら考えようとも、わからない。でも――ひとつだけ、微かにわかりかけたことがある。
それは、そんな彼女が満たされていないのだと、いうこと。
決して満たされない想い、それを心に宿す。心の隙間を埋められないことを知ってしまっているからこそ、彼女はこんなことをしているのだ。