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【Onlooker】~サラが見たもの~
第8章 危険な、遊技?
「……」
咲花の言葉に、サラは戸惑うより他はなかった。
なにやら、とんでもないことになっている。否、とんでもない女(咲花)を相手にしてしまった、というべきか。
彼女は何故こうも自分に執着しているのか、それもまだまだわからないままだが。どうやら、「気に入らない」という想いがその態度からビンビンと伝わって止まない。
いつもの毅然とした零子が健在であれば、こんなことは止めてくれるはず。しかし、今もソファーの上には猫のように丸まった、その寝姿が見られた。
紺野は自分のことを気にしてくれているが、咲花との関係性がよくわからないので、サラの方から頼ることには遠慮が生じてしまう。
一方で黒木は、咲花の在籍する店のボーイだったという経緯からか、咲花に対しては終始弱腰であるように思われた。
「さあ、早くなさいよ」
二つのサイコロを手にして、それを差し出している。今はにこやかな咲花だが、十秒後に同じ表情をしているのかは、サラの次第であるのだろう。
「だ、だけど……」
「だけどぉ?」
口から出た言葉を繰り返され、ブルーの瞳で見据えられた。態度を明らかにしなければ、その眼差しから発した光線で焼かれるかもしれない。そんな風にさえ思わせる、禍々しい瞳だ。
サラは冷や汗を浮かべながら、改めてサイコロを見る。数字でない方のサイコロには、【頭】意外に【耳】【指】【胸】の表記が見えた。それと組み合わされるワゴンの上の道具は、何れも危険なものばかり……。
すなわちそれを用いて、床に倒れた二人を「罰せよ」と咲花は言っているのだ。その光景を頭の中で想像して――。
「わ、私――」
――できません。
正にそう言おうとした時である。
――ピン!
と、咲花が指で弾いたサイコロのひとつが、サラの頬に当たって、そのまま床の上を転がる。
その出目は――【4】だった。