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【Onlooker】~サラが見たもの~
第8章 危険な、遊技?
決して弱くなくサイコロを当てられた頬の辺りが、ぴりっと痛んだ。
サラはそれと同じ側の右目を反射的に閉じ、反対の左目で床に転がったサイコロとそれを拾い上げる咲花を見ている。
「グズグズしてるからぁ、代わりにしてあげたのよ。けど、これは正式にお嬢ちゃんが出した目だからね」
咲花はそう言って、出目である【4】をサラの目の前に示した。次いで――
「でぇ? 【4】は、なんだったっけ?」
そう背後へ問うと、口髭の男はワゴンの上から【4】に対応する道具を手にする。
「こちらでございます」
そう言って丁寧な所作で差し出されたのは――出刃包丁、だった。尖った刃の切っ先が、部屋の間接照明を受けて鈍く光る。
「アハハ――コワーい!」
咲花はそれを無造作に右手で掴むと、愉しげにそれを見つめた。
「さて――」
そして、改めてサラに向き直ると、左手のもうひとつのサイコロを差し出す。
「今度は、ちゃあんと自分で振りなさい」
ギラリとした瞳と包丁の刃が、サラを責めるようにして――。
その重圧に耐えきれず、サラは訴えた。
「ま、待ってください! こんなの謝罪じゃありません!」
「なんでぇ? れっきとした謝罪だよぉ。この二人はね、これでもヤクザの端くれなの。だからぁ、その謝罪はイコール――“オトシマエ”と、なるわけ」