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【Onlooker】~サラが見たもの~
第8章 危険な、遊技?
ヤ、ヤクザって……。
床に横になったままの二人。また咲花の背後に控えた執事風の口髭の男を見て、サラは警戒心を顕にした。
「その上で、そのための“罰”を、直接被害を被ったお嬢ちゃんに決めさせてあげようって言ってるんじゃない。私のからのご厚意ってやつを、まさかぁムダにしたりしないわよねぇ?」
咲花は右手に持った包丁の刃先をぶらぶらと不安定に揺らしながら、サラを見つめながらそんな風に話している。そして――
「ほぉら」
「い、いや……」
サイコロを持った左手を強く差し出され、サラも両手で必死にそれを拒むが――。
「いい加減にっ!」
「あっ!」
二人の間で押しつけ合った挙句に――
コン、コロン!
と、サイコロが床板の上に、弾けていった。
すると――【指】――の面を上にして、それは動きを止めた。
「!」
それを見ると、その瞳を爛々と光らせたのは咲花。と、同時に――
ダン!
「がっ……」
咲花は足で、優男の左手を強く踏みつける。その際、高いヒールの凹みの部分が、手首の辺りをがっちりとホールドした格好だ。
そうして動かせなくなったその左手の真上では、咲花が右手の出刃包丁を危なっかしく持ち代えている。その刃先を下に向けると、柄の部分を親指と人差し指で“ちょん”と摘まんだ格好だった。
すなわち、それを放し包丁が自然落下をするだけで、優男の手――否【指】がどうなるかは、最早明白である。
それを一同が承知したことを見越し、咲花は微笑む。