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【Onlooker】~サラが見たもの~
第8章 危険な、遊技?
出刃包丁を奪われた咲花は空になった掌を広げ、まずは静かに訊ねる。
「これは、どういうことなの? ねぇ、俊ちゃん」
「はあ……なんつーか」
取り上げた出刃包丁をワゴンの上に戻し、黒木はバツが悪そうに髪を掻いた。
そんな気のない態度に、怒りがこみ上げたものか。咲花は、こめかみの辺りをピクリと引きつらせた。
「今日は大人しくしてなさいって……そう言ってあったでしょう?」
「ええ、すみません」
「謝る前に、ちゃんと理由を言いなさいよっ!」
堪りかねたように、咲花は語気を荒げた。
「理由……?」
そう呟き、黒木は何気にサラの方を見た。その視線を受け不思議そうにしてる、その顔を見ながらなにかを考えているようだった。
すると黒木が考えを纏めるのも待たずに、咲花は言う。
「あ、そっかぁ。零子さんのトコでは、ボディーガードとかやってるんだっけ。それで、ついついお嬢ちゃんのこと助けちゃった? それとも、もっと違う理由でもあるの?」
それを聞いて、口を挟んだのは意外にも紺野だった。
「その点は、僕も聞かせてほしいかな」
紺野はそう前置きして、サラと黒木を順番に眺める。
「止めてくれたことには感謝しているくせに、気になって仕方がないんだ。悪いね、黒木くん」
黒木は自分に関心が集まったことを不本意に感じたようで、皆から離れた処まで歩くと顔を俯かせながら静かに話した。
「関係ないっすよ。俺がボディーガードなんてしてるのは、オンルッカーの時だけで、今はそうじゃないから」
そう聞いた途端に、咲花が問う。
「だったら、なんで助けたの?」
「それは――」
サラも自然と、黒木の次の言葉に注目――するが。
「別に、助けたつもりなんてないっすけど」
「はぁ?」
不快そうに眉間に皺を寄せた咲花。今にも怒り出しそうなその口が文句を言うより先に、黒木はこう話した。
「だって、今日の名目は“謝罪”ですから。それを受ける側のコイツのことを、助けるとか助けないとか、そう考えること自体が変――ですよね?」
「くっ……」
言われた咲花は、思わずその唇を噛んだ。
「これは、どういうことなの? ねぇ、俊ちゃん」
「はあ……なんつーか」
取り上げた出刃包丁をワゴンの上に戻し、黒木はバツが悪そうに髪を掻いた。
そんな気のない態度に、怒りがこみ上げたものか。咲花は、こめかみの辺りをピクリと引きつらせた。
「今日は大人しくしてなさいって……そう言ってあったでしょう?」
「ええ、すみません」
「謝る前に、ちゃんと理由を言いなさいよっ!」
堪りかねたように、咲花は語気を荒げた。
「理由……?」
そう呟き、黒木は何気にサラの方を見た。その視線を受け不思議そうにしてる、その顔を見ながらなにかを考えているようだった。
すると黒木が考えを纏めるのも待たずに、咲花は言う。
「あ、そっかぁ。零子さんのトコでは、ボディーガードとかやってるんだっけ。それで、ついついお嬢ちゃんのこと助けちゃった? それとも、もっと違う理由でもあるの?」
それを聞いて、口を挟んだのは意外にも紺野だった。
「その点は、僕も聞かせてほしいかな」
紺野はそう前置きして、サラと黒木を順番に眺める。
「止めてくれたことには感謝しているくせに、気になって仕方がないんだ。悪いね、黒木くん」
黒木は自分に関心が集まったことを不本意に感じたようで、皆から離れた処まで歩くと顔を俯かせながら静かに話した。
「関係ないっすよ。俺がボディーガードなんてしてるのは、オンルッカーの時だけで、今はそうじゃないから」
そう聞いた途端に、咲花が問う。
「だったら、なんで助けたの?」
「それは――」
サラも自然と、黒木の次の言葉に注目――するが。
「別に、助けたつもりなんてないっすけど」
「はぁ?」
不快そうに眉間に皺を寄せた咲花。今にも怒り出しそうなその口が文句を言うより先に、黒木はこう話した。
「だって、今日の名目は“謝罪”ですから。それを受ける側のコイツのことを、助けるとか助けないとか、そう考えること自体が変――ですよね?」
「くっ……」
言われた咲花は、思わずその唇を噛んだ。