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【Onlooker】~サラが見たもの~
第8章 危険な、遊技?
『申し訳ありませんでした』
「――!?」
その謝罪の言葉を耳にして、サラは驚きを禁じ得ない。
そう言えば奇しくも、咲花は今日の宴を“謝罪”のためだと言っていた。しかしながらそれは表層上の“看板”であって、その実は“嫌がらせ”あるいは“当てつけ”であったことは最早明白。
常日頃、人を疑うことのないサラでさえも、咲花の一連の態度を前にしては、それを懐疑的に捉えざるを得なかった。同時に例の優男と坊主頭の凶行に対しても、その背後に咲花との関係性が見えてくる気がしている。そして両者を繋ぐのは、咲花が口にした“ヤクザ”というキーワードなのか。
そう考えれば、咲花に付き従う口髭の男の妙な落ち着きとある種の迫力、その只者ではなかろうという雰囲気にも納得がいく。
おそらく、この場は――サラの想像以上に危険な場所なのだ。
それを踏まえた上で、サラは改めて壁に設置されているテレビモニターを見た。60インチはくだらないであろう、その大型液晶画面には――とりあえず、一人の男が映し出されていた。動画の冒頭で、謝罪を口にした男のことだ。
その個人撮影された(であろう)映像を鑑賞する前に、咲花は皆にこんな風に言った。
「せっかくの余興を台無しにしてしまってぇ、大変申し訳ございませんでしたぁ。その代わりといってはなんですけどぉ、ちょっと面白い動画(ムービー)がありますので、それを皆さんと一緒に観賞してみたいと思いまーす」
それを聞いて、なんだろう、と紺野と顔を見合わせたサラであったが、その時に黒木は一人背を向けていたのが気にかかってはいた。
そして、皆の注目するテレビモニターの中には――
『この通りです。どうか許してください』
そう言って再び謝罪の意を口にする、黒木の姿が映し出されている。冷たい床の上に土下座する黒木は、どうやら一糸まとわぬ全裸であるようだ。
「……」
それを見てサラは思わず絶句し、更なる胸騒ぎとともに、その姿を見つめるしかなかった。