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【Onlooker】~サラが見たもの~
第8章 危険な、遊技?
同じく含み笑いを携えながら画面を見つめる咲花が、部屋の片隅の黒木に言う。
「大人しくしててくれたら、こんな恥を晒さずに済んだのにぃ。今はどんな気分なのかしら――俊ちゃん?」
「……」
黒木は一人だけ関心を示さずに、モニターに背を向けている。その俯いた横顔、なにかを悔いたような表情を見つめ、サラはそこはかとなく心を締め付けられる思いがした。
モニター画面で再生される映像では、土下座する黒木の姿が横方向から撮影されていた。平伏し頭を下げ続ける横顔は苦渋に満ちていて、細いながら筋骨の発達した身体は、それが室内であるにも関わらず、どこか寒々として見えた。
すると映像の中では、次もまた聞き覚えのある声が響く。
『俊ちゃんも、こぉんなに反省してるみたいだしぃ。私としても、許してほしいってゆーかぁ?』
今も変わらず甘ったるい声の主は、当然ながら。喋り終えると同時にカメラのアングルが代わり、椅子に佇みネイルを見つめるその様子が映し出されている。髪は今とは違って赤髪であり顔つきも幾分幼げではあるが、それは紛れもなく咲花だった。
と、そこで第三の人物が登場する――。
『咲花――お前は黙っていろ』
重厚な低音ボイスを響かせ、再び黒木を中心に捉えた画面の中に、そのスーツの足元だけが映り込んできている。それがツカツカと歩み黒木に近づくと、そのすぐ前で立ち止まった。
『……』
その顔を仰ぐ処が逆に一層平伏した黒木の、その横顔に恐怖心が見て取れた。