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【Onlooker】~サラが見たもの~
第8章 危険な、遊技?
『ハ……ハーイ』
さしもの咲花の返事も、男の剣幕に恐れを成したようだ。そして、その次の瞬間――
――ズザッ!
黒木が平伏す床に刺さりその音を鳴らしたのは、長脇差(いわゆるドス)である。スーツの男が片膝をつき、それを力任せに突き立てていたのだった。
『もうひとつだけ、正直に答えてもらおう』
映像の中にギリギリ映り込んだその口元で、スーツの男は黒木に告げる。
『いいか。その返答によっては指一本で勘弁するか――それともお前の股間にぶら下げたモノで落とし前をつけることになるか――そういったわけだから、精々心して答えるんだな』
『……ッ!』
すぐ横に光る刃物を見やりながら、黒木の顔色が蒼白と変わる。
そして、男は問うた。
『お前――咲花に惚れてるのか?』
おそらくは――【yes】or【no】――でしか返答が許されないであろう、この場面で。長いと感じる数秒の間を置いた後に、黒木は意を決したように答える。
『はい……』
そしてこの映像の中で初めてその顔を上げ、黒木ははっきりとした口調でこう続けたのだ。
『俺は咲花さんのことが――好きです』
――プツン。
「――!?」
突如、テレビは消える。動画の再生も、そこまででだった。