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【Onlooker】~サラが見たもの~
第8章 危険な、遊技?

 色々な意味でショッキングであった映像。それを見終えて、サラは呆然とした。

 こんなにも胸騒ぎがしているのは、自分の知らない“怖い世界”を覗いたせい……? それともサラが知らない黒木の姿を、こんな形で見せられてしまったから……?


「……」


 自分の心を整理することすら、今のサラには難しいことのようだった。

 そんな繊細な心境を、まるで嘲笑うように――


「きゃあああっ――愛の告白ゥ!」


 咲花は嬉々として、その歓喜の声を轟かせた。そして暫く一人で身もだえすると、笑い泣きといったその涙を指先で拭い、息を整えながら話す。


「ホント……俊ちゃんのコレってばぁ、何回聞いてもキュンキュンきちゃうんだからぁ。ねー、俊ちゃん?」


「そうすか……」


 サラのすぐ背後でそう答えていた黒木の顔を、サラはまだ見ることができずにいた。


「あらぁ、俊ちゃん――どこに行くの?」


 その咲花の言葉に釣られるようにして、サラもようやく後ろを振り返った。

 すると、部屋の出口に向かっている黒木は、一旦その歩を止めて。


「ああ、ちょっと着信がありましてね……」


 と、右手の中で振動するスマホを、少しだけ掲げた。


「へえ、誰から」


 咲花が訊くと――


「チハルさんです」


 黒木は事も無げに、そう答えている。


「誰なの――その女はぁ」


 僅か言葉尻を強めた咲花とは対照的に、黒木はどこか虚ろに。


「咲花さんには、関係ない人ですよ」

「な、なんですって……?」

「とにかく今から会ってきますんで、今夜はこれで失礼します」


 そう告げて再び歩き始める黒木。が、その背を射抜くように睨み付ける咲花が、それで納得するはずもなかった。


「ちょっと待ちなさい! コレ、いらないの?」

「……?」


 言われた黒木は、また咲花を見る。

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