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【Onlooker】~サラが見たもの~
第9章 委ねられる、人生?

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 高層階よりエレベーターで下り一気に地下の駐車場まで。とりあえず零子がミニを停めた場所まで戻り、そこから周囲に駐車されている高級車の車列を見渡した。

 いつも黒木が乗っているのは黒塗りのベンツ(所有はもちろん零子)を探すつもりでいたのだけれど、ふと失念していたことに気づきサラはコツンと自分の頭を叩いた。


「バカ……そもそも車で来ていたのかも、わからないじゃん。それに――」


 仮に車で来ていたとしても既に去った後なら、そもそも追う手だてがない。それに車に詳しくないサラにしてみれば、それを一目で判別できるというわけでもなく、ナンバーを逐一確認しながら時間をかけて探すのは、明らかに不毛だと思った。

 運よく見つけたところで車があるということは、黒木は自分の足で移動中だということになる。そうだとしたら、外に出て早く追いかけた方が見つける可能性は高い。


「そういえば、お酒――」


 黒木がワインを口にしたところを確かに見た気がして、サラは駐車場で車を探すことを止めた。


 はあ……はあ……。

 その息を切らしながら、サラは走った。

 そうしてタワーマンションとそれに併設する複合商業施設の敷地をなんとか抜け出し、とりあえず駅方面へ。行き交う人々をキョロキョロと見やりながら、背の高い金髪の後姿を一心に探した。

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