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【Onlooker】~サラが見たもの~
第9章 委ねられる、人生?
「言い訳とか――」
そう言いかけてから、黒木は思い直したように髪を掻いた。
「――俺はともかく、お前の方から言い訳したいことなんてあったのか?」
「うん、あるよ」
「どんな?」
「紺野さんとの、こと……とか」
サラは言いにくそうにしながらも、そう答えた。
「あのな……」
サラの出した名に一定の反応を見せながらも、黒木は努めて冷静さを装っている。
「俺は言い訳なんてしたくねー。そんなもん、テメーの都合で適当に語ることだって、いくらでもできるだろ? 他人との間にあったことを、そうやってベラベラ喋んの、なんかカッコ悪いつーか、嫌いなんだよ」
「その気持ちは、よくわかる。私だってもちろん、紺野さんの事情とか全部を話すわけにはいかない。これでも、オンルッカーだから。でも――もし、そのことで俊くんになにか誤解を与えたままだったとしたら、やっぱり嫌だよ。それは、俊くんと同じ」
真剣な様子に調子が狂ったのか、黒木は右手で目元を覆うと暫くなにかを思慮していた。それから言葉を選ぶように、こう続けた。
「同じって……俺がいつ、そう言ったんだ?」
「あの動画――私に見られたくなかったって」
「べ、別に……お前にとは、言ってねーって」
「じゃあ、誰に?」
「……ッ!」
サラに迫られ言葉に詰まった黒木は、いつものように舌打ちをした。
「チッ――で、なにを話せば気が済む?」
「咲花さんとのこと。別にクドクドと言う必要なんてないから、どんな関係なのか教えて」
「どんな関係って、そんなの――店の看板キャストと元ボーイ」
「それだけ?」
「ああ、そうだ」
「じゃあ、どうしてあんなことになったの?」