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【Onlooker】~サラが見たもの~
第9章 委ねられる、人生?
唄い終え、口元に笑みを零したチハルさんは言った。
「ほぉら、もっと……気持ちよく、してあげるからね」
その手の動きが、俄かに速度を上げる。
チハルさんの様子はどう考えても普通ではなくて、その“行為”自体もそうだけれど、とにかく真面ではないのだ。薄らと纏う空気は、空々しくて恐ろしくさえある。
「え……あ……?」
俊太は背筋が凍てつくほどに冷たいのに、チハルさんの手の中で勃起したモノだけが異様に熱いこと――その落差に、困惑し混乱しようとしていた。
「うふふ――いいの。チハルさんに、まかせて」
そう囁き微笑みかけた顔は、とても優しいけど。決して抗うことを許さない、そのような強烈な情念を醸し出して見えた。
その間も絶え間なく蠢く右手は、俊太に初めての感覚をもたらし制御不能な只ならぬ想いを、心の奥底に生じさせようとしている。
だけど、それを快感として受けつけることはできない。俊太の中でなにかが、それを猛烈に否定していた。
そんなのは、当然。わからないことが多すぎるけど、これが駄目なことだって、それくらいはわかるから――だから。
「チハルさん……もう、やめてよ」
俊太はようやく、自分の想いを口にすることができた。
が、しかし――
「俊ちゃん――」
「な、なに……?」
「俊ちゃんは、私のこと――好き?」