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【Onlooker】~サラが見たもの~
第1章 見るだけの、お仕事?

「私なんて結局、零子さんに教えてもらえなければ、なにもわからなかったし……」

「顧客の情報を事前に言わなかったのは、今日が初めてだったからよ。それに、サラちゃんはちゃんと彼女の気持ちに気づくことができた。だからこそ、互いに呼応して昇り詰めていったの。今回のクライアントである彼女、ちゃんと満足してくれたわ」

「ホ、ホントですか?」


 そう聞いたサラは、初めて充足したように顔を輝かせた。


「どう、オンルッカーとして――この先も、やってみるつもりは?」

「ああ、でもなあ……」


 そうするには、不安も多い。自信なんかあるわけもなくて……。

 迷いを口にしたサラに、零子はこんなことを言う。


「当面、必要な学費なら私が肩代わりするわ。それもお給料の前借りではないから、別に返さなくてもいいのよ」

「それ、マジですか!」


 思わず飛び上がり、サラは零子の顔を仰いだ。


「ウフフ。ええ、マジよ。だから、あとは週に二回か三回かしら。今日みたいな現場を踏んでもらえたら、生活費だって稼げると思うの。そのくらいなら、学校での勉強の妨げにもならないでしょう?」

「はい……それなら」


 サラにしてみれば、最高の条件である。しかし、上手い話すぎるから、逆に疑わしくもなるものであり、それは世の習わしなのだろう。


「あの……どうして、そこまで」

「貴女のことが、欲しいから」


 じっと見つめ艶っぽくそう言った零子に、サラは焦った。


「ええっ……?」

「ふふ、冗談。でもね――ひとつだけ、約束できる?」

「約束……?」


 その後、サラは零子から、その約束を聞かされ。

 そして、それを了承して――【Onlooker】として働くことを決めるのだった。


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