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【Onlooker】~サラが見たもの~
第9章 委ねられる、人生?
「俊ちゃんとも結びつきたいって、『チハルさん』思うんだ。でも、アナタはまだ子供だから、急いだりはしないよ。だから、ね――少しずつだけど、こういう気持ちいいこと、教えてあげるから」
「僕は……そんなこと、してほしくなんか……くっ」
「ホント? でも、俊ちゃんの――こんなに大きくなってるのに」
ニッ――上気する俊太の顔を見上げた、その口角が上がる。
笑みを携えたチハルさんは、その心にもう不安など宿してはなくって。そうして、さっきまでとは異なる、どこか自信に満ちた口調で――言った。
「刺してもいいよ。止めさせたければ――いつでも、ね」
「……」
その時、細く開いた目で俊太が見下ろした視界には、いくつかの印象的なものが混ぜこぜに映っていた。
俊太の勃起した肉棒を擦り続けるチハルさんは、怪しげな女の顔をしていた。舌でペロリと口の周りを舐め、なにやら高揚している。その意志が俊太の理解を超越しすぎるから、恐ろしい。
その顔のすぐ近くには、俊太自身が手にしたままの包丁の刃がある。もちろん刺すことなど考えるはずもないけど、その可能性を示唆するチハルさんの言葉により、とても居心地が悪く思え。それでも手放すことができずに、そのまま握り締めるだけ。
その包丁を持つ左手の甲には『×』印の傷跡。俊太自身が痛みに耐えナイフで穿った傷跡は、すっかり塞がっていたけれど。ある意味では理想的に“醜い傷跡”となりつつあった。チハルさんのオッパイに触れた、弱い自分への“戒め”の意として――。
もうあんなこと、沢山だったはずなのに――どうしてまた、こんなことになっているのだろう?
もう「やめて」とも言う気になれず。もちろん、刺せず。なにを“戒め”るべきかも見失って――。
途方に暮れた俊太は、混ぜこぜの視界と股間が伝える痛いほどの快感に、やがて己の五感の全てを嫌悪した。
そうした時に願ったのは、せめてこの時間が一刻でも長く続くことがありませんように――そう。
は……早く、終わって。頼むから…………早く!
と、己自身に念じるが如く、ひたすらに強く。