この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
【Onlooker】~サラが見たもの~
第10章 導かれゆく、想い(こたえ)たち?

「いやっ……」


 暗がりの中で、浮かび上がった霊魂に慄き。


「きゃあっ!」


 通路の角を曲がれば、待ち構えていたゾンビの出現に背筋を凍らせた。

 サラは、さっきの絶叫マシンとは違う種類の悲鳴を幾度も上げる。実を言えば、この手のアトラクションは苦手だ。ホラー映画でさえ、怖くて一人では観られない。

 それならどうして自らホラー系を選んでいるかといったら、それはやはり憧れのデートプランの一環ということのようで、またしてもそれはベタベタなイメージではあるのだけど。

 震えあがってしまった時に思わずしがみついていた腕、その顔を見上げれば――


「大丈夫かい?」


 そう言って包み込むように微笑む、紺野がいてくれること。


「は、はい……」


 これこそ正に、サラが思い描いていた理想のデート相手、ということになるのだろう。

 肩をそっと抱かれエスコートされて、サラはその胸を熱くしていた。

 だからその後も心ゆくまで、サラは精一杯初めてのデートを楽しもうとすることに余念がない。


 はしゃぎすぎてつまづき、手にしたソフトクリームを落としそうになる場面。

 ――カシャ。


 メリーゴーランドの馬の背から、笑顔で手を振っている場面。

 ――カシャ。


 キャラクターの着ぐるみに、無邪気に抱きついた場面。

 ――カシャ。


 そのような幾つかの場面が、舞台演出家の紺野涼の目により切り取られていたものか。サラを温かく見守るその顔は、とても満足気である。

 一日を遊び、斜陽が傾き始めた時。サラは乞うようにして、紺野に言った。


「最後はアレに――一緒に乗っていただけますか?」

「もちろん、喜んで」


 そうして二人で乗ったのは、大きな観覧車だった。

/456ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ