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【Onlooker】~サラが見たもの~
第10章 導かれゆく、想い(こたえ)たち?
※ ※
それはバイトを求めて、紅谷零子の面接を受けた後。期せずして“体験オンルッカー”として零子に連れられ現場に赴いたサラは、あらゆる意味でショックを受けることとなった。
男女の情事を初めて目撃したことも然ることながら、このような仕事が成り立つことにも大きな驚きを覚えていたのだ。
見て知って、それを秘めること――。零子はオンルッカーとしての役割の本質を、そんな風に語ってくれた。
それはまだピンとくるものではなかったけれど、サラの中の好奇心が刺激されていたのは確かであったろう。
初めての現場でクライアントの女性に感化されて、絶頂を迎えた時。まだ淡い恋愛さえ経験していない自分にも、やはり女の部分があるのだと知って、なんだかゾクリとした。
相手を“見る”ことで、その想いにシンクロできた感覚は新たな才覚の目覚めであるようで、可能性が拓けた気にもなった。
だから、零子にそれを持ちかけられた時――。
「――ひとつだけ、約束できる?」
「約束……?」
サラのような学生にしてみれば高額なバイト代も。その上に学費の肩代わりまで無償でしてくれるという条件も。
それに見合うだけの“約束”とは、一体どういうものなのか。サラはその先の話に、心して耳を傾けていた。
「今は、きっと人の心がよく見えることでしょうね。サラちゃんは、そういう眼差しをしているから」
「どうして、そんな風に思うんですか? 私なんて全然普通だし、なにも特別なところなんてないのに……」
「その理由には、サラちゃん自身で気づかなければならないの。だから、それは教えられない。でもね、いつかそれに気づいた時――」
「……?」
何気に零子を見返したサラは、その後の言葉に大きな衝撃を受けることとなった。
「サラちゃんの“初めて”の時を、私に見せて」