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【Onlooker】~サラが見たもの~
第10章 導かれゆく、想い(こたえ)たち?

「え……?」


 苛まれたショックに比して、その言葉を理解するまでに生じたタイムラグ。サラの思考がそれを埋める前に、零子はこう続けた。


「つまりオンルッカーを務める私の前で、貴女自身が初めてのセックスに挑まなければならないということ。それがサラちゃんが果たすべき、私との――約束」

「……」


 その時サラの心理の表層には、色々な言葉が浮かんでグルグルと回った。


 無理無理、絶対に無理ですから!

 確かに学費は魅力だけど、それとこれとは別だよ。

 そもそも、そんな相手いませんし……。

 第一、人前でなんて恥ずかしいって……。

 それも、初体験なんて……やっぱ、どう考えても無理!


 しかし、それはあくまで表層の想いに過ぎなかった。決して深層心理ではない。そして、サラはわかっていた。理屈ではなく、それは感覚として――。

 そして――


「いずれ――サラちゃん自身が、その通過儀礼を必要とするわ」

 そう言って見つめた零子の瞳に、更にこう言われたような気がしていた。


 本当は、わかっているのよね?


「……」


 サラは考えて、考えてもわからないところにある、自分の想いに殉じようとした。だから、どうしてそう答えたのか、その時にはわからなかったけれど。


「わかりました。お約束します」


 サラは迷いなく、そう告げていたのだった。

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