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【Onlooker】~サラが見たもの~
第10章 導かれゆく、想い(こたえ)たち?
※ ※
観覧車は更に回り、上方へと昇りつめようとしていた。
その中で、二人は――。
「そうか……黒木くんがサラさんに、道を示したんだね」
サラの話を聞いた紺野は、静かな口調で言う。
「どうなのかな……。少なくとも向こうには、そんなつもりはなかったと思いますけど」
そう言って俯き和やかな表情を見せたサラを、紺野が見つめた。そして――
「零子との約束は、いつ?」
それを問われたサラは、虚をつかれたように慌て、顔を何度も横に振った。
「あ、いえいえっ……その予定なら、まだ全然」
「フフフ、なんとなくわかるよ。きっと黒木くんの方が、ごねているんじゃないかい」
「そうですね……というか。私の方が、ちゃんとお願いしなくちゃ。この件については、あくまで私の事情ですから」
と、サラが言ったのを聞き、紺野は――。
「それは、違うよ」
「え?」
「サラさんの事情なら、黒木くんの事情でもある。これからの二人は、そのような関係になろうとしているんじゃなかったかな。もし違うのなら、いつでも僕が――」
紺野はそこで言葉を止め――
「……」
やはり口を閉ざしたままのサラと、視線を重ねた。
そして暫く、どちらからともなく――ふっ――と、緊張を緩める。