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【Onlooker】~サラが見たもの~
第10章 導かれゆく、想い(こたえ)たち?
「フフフッ……アッハハハハハ――!」
実に愉快そうに、紺野がその腹を抱えて高らかに笑った。
「あの……紺野さん……?」
逆にその様子を、サラがキョトンと見つめ。観覧車が頂点を過ぎ下り始めた時だ。
「ホントにサラさんは、楽しくて素敵な人だ」
「そんな……今のは――!」
そう弁解しようとするサラをそっと右手で制し、紺野はこう言葉を続けた。
「だからこそ、僕の大好きな――“お嬢さん”」
「……」
その瞬間、ひとつ想いがサラの胸を満たす。そう、それは初めてその笑顔に魅せられた時から、なにも変わらないもの。とても爽やかで、じんわりと優しい。
だから――
「私も同じ――初めて事務所の前で出会った時から――」
サラはそれまでに募った想いを、先ずはその言葉で返す。
「貴方は私の――“イケメンさん”です」
そして、次々に連なるものを、今度は順序通りに口にしてゆく。
「だから――初めてのキスも、初めてのデートも紺野さんでよかった。紺野さんがよかったんだって、今、素直に思えます。裸で抱きしめられた時の、初めての高鳴り――それも」
その全てを伝え、サラは潤んだ瞳からすっと一筋の涙を零している。
そして――
「うん――光栄だね」
紺野はそう言って、健やかに微笑むのだった。