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【Onlooker】~サラが見たもの~
第11章 オンルッカー……?
その後――。
「二人、シャワーでも浴びてきたら。ゆっくりでいいから」
零子にそう言われ、思わず顔を見合わせたサラと黒木は――。
「じゃ、じゃあ……先に?」
「あ、ああ……俺が?」
「う、ううん……私から」
「そ、それなら……俺は後で」
なんともぎこちない会話を往復した後、バスルームに入ったサラはふっと息をついた。
「……」
鏡に映った顔が、オレンジに近い照明の色に関わらず、紅潮しているのがゆくわかった。心臓がドキドキとして最初はそれほどまでに強く脈打つ感じでもなかったのに、時間が経つ毎にその強さがなだらかな上昇曲線を描いてゆく。
今はひとつの鼓動で、身体の隅々にまで熱い血潮が行渡るくらいに――。
「やだ……私……興奮してる、の?」
この後、サラは黒木とセックスをする。それはずっと、わかっていたことであった。なのに、ここに至りその実感たるや、想像の域を悠々と超える。サラは息苦しいくらいの心の緊張と、それに反して熱を増す身体の火照りに戸惑っていた。
性行為。それを人の目の監視下で行うこと。それ自体に左程の抵抗を覚えるわけでもなく、それどころか高揚する気持ちは、なにかを期待するようにして――。
「私……女なんだ。女に、なるんだ」
そう呟き、その顔を鏡に映すと。サラはスッと次第に落ち着いてゆく。
強いられたことではない。これは自分で決したこと。そう流れの中で、これは望んだことなのだ。