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【Onlooker】~サラが見たもの~
第1章 見るだけの、お仕事?
――プッ。
山間で土砂に埋まった民家の様子が映し出された時、サラはリモコンでテレビを消した。
「あーあ、ホントにどうしよっかぁ……」
今はとにかく自分のことで精一杯である。
しかし自分でも口にした通り、短い時間で高額な報酬を得ようとすれば学生のサラにできることなんて、どうしても限られてしまうように思えた。
椅子の上で反り返ったまま手を伸ばすと、ベッドの上に無造作に置かれているフリーの求人情報誌を手に取る。
そうして、その冊子の後半の方のページを開いた。
「……」
サラがじっと見つめたのはピンクや紫で彩られた広告であり、いわゆる『ナイトワーク』といった類いのもの。そこには確かに、金銭面で魅力的な数字が並ぶ。
薄い冊子をパラパラと捲り終えると、その顔を曇らせサラは呟くのだ。
「いくらお金がよくても、できるわけないじゃん。私なんて、まだ処女なんだし……」
身も蓋もないことを口にしてしまいサラは思わず、その頬を染めている。
二十歳になる現在に至るまで、確かに恋愛経験はほぼ皆無だった。が、当人は特に男を遠ざけていたつもりもなく、高校時代にしろ今の学校にしろ周囲には男友達だって普通にいた。
それなのに、今まで何事も無いなんて……。果たして自分は、異性の目にどう映っているのだろう、なんて考えたりもする。
どうせ私なんて、色気とかないしなぁ……。
誰にともなく、心の中でそんな言い訳をした。それは恋愛に関する興味が、サラの中で膨らみつつある証なのかもしれない。